2006年09月08日

『出口のない海』

8月24日にご紹介した映画『人間魚雷回天』(1955年)が、現在Yahoo!動画で見られますね。なんだか映像がGyaOよりもきれいです。今月9月いっぱい視聴できるので、GyaOで見逃した方はよかったらどうぞ。こちらです→Yahoo動画:人間魚雷回天

degutinonai.jpgさらに今月16日から、回天を扱った「出口のない海」という映画が劇場で公開されるそうです。(公式サイトはこちら

原作は「半落ち」の横山秀夫さん。脚本:山田洋次さんほか。監督:映画半落ちの佐々部清さん。主演は市川海老蔵さん(追記:昨夜のクイズミリオネアに出てましたね)。

Yahoo!動画では監督ほかの皆さんのインタビューが見られます。

昔の映画以上に、戦争に駆り出された若者の内面がリアルに描写されているかもしれませんね。

話は変わりますが、実際に戦争に行った方たち、また体験した方たち、いまは80歳前後になっている方たちが、憲法9条を変えようとする今の世の中の動きを危険なものと感じ、なんとか戦争の悲惨さを伝えなければ、自分がこの世から消える前に語り継がなければと、記録に残す努力をしているというのを先日NHKテレビで見ました。
その中で、83歳の穏やかな男性は(私の父が生きていたらちょうど同じ年)戦地で経験したことを今まで家族の誰にも話したことがなかったそうです。そう言えば私も父からは何も聞いたことがありませんでした。

なぜ話さなかったのかとの質問に、「自分があんな残虐なことをしたなどとは、孫たちを怖がらせるだけだから言えなかった」と答えていました。しかし孫も20代後半になり、もう自分の命も残り少なくなった今、そんなことよりも自分の体験を語らなければ日本はまた愚かな戦争に突入してしまう、との思いに駆られて、これまで封印してきた思いをつづっているのだそうです。

中国で捕虜の若者を、上官の命令とはいえ銃剣で刺し殺したときの感触は忘れられないと言っていました。また、泣き叫ぶ子どもを殺すなどというのもよく見かけたことだったそうです。

敵を一人でも多く殺すことが手柄だった時代、命令に逆らうことが許されなかった時代、極限状況の中で、人によっては感覚が麻痺し人を殺すのも虫を殺すのと大差ないと思うようになった人もいたかもしれません。でも平和な世の中になって、自分は殺人をしたのだという罪の意識がだんだんと重くなり懺悔したいという気持ちが強くなったのかもしれないですね。

戦争とは、人間同士の殺し合いですから決して美しいものではあり得ないと思います。回天やゼロ戦による特攻では攻撃側の命の尊さがクローズアップされますが、その一人の兵士の自爆によって相手側の大勢の命が失われているという事実が描かれることはまずありません。人間というのは自分の罪には目をつぶりたい生き物なので仕方がありませんが…。といっても特攻隊員を責めたいわけではないです。彼らも戦争の犠牲者であることに変わりはありません。

さだまさしさんの『広島の空』の中で歌われている言葉、→こちらにも書きましたが、
もううらんでいないと彼女は言った
武器だけを憎んでも仕方がないと
むしろ悪魔を産み出す自分の
心をうらむべきだから
この言葉は、自分は被害者であると同時に加害者でもあるという事実に目を向けるよう教えているのかもしれません。文字通り誰かを殺したりしなかったとしても、鬼畜米英と叫び敵への攻撃を喜んで声援していたという点では同罪かもしれないということでしょうか。

自虐史観についてはよく知りませんが、戦争時、一国民にできることはほとんどなく好むと好まざるとにかかわらず戦争に巻き込まれたのですから、自分だけが悪いとことさら責める必要もないでしょうが、かといって、まったく罪がないとも言い切れないでしょう。戦争にまったく関わったことのない私が言うのもどうかとは思いますが、どっちの国がいいとか悪いとか、そういう不毛な議論をするよりも、どうしたら悲惨な戦争を避けられるのかを考えたほうがいいように思うのですよね。

戦争を扱った映画はたくさんありますが、それを戦争美化につなげるのでなく、戦争の愚かさに注意を向けるものであったらいいなあと私は思っています。
posted by 野バラ at 11:30 | Comment(0) | TrackBack(1) | 戦争
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Tracked: 2006-09-08 22:41